お葬式コラム

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コラム

お葬式で困らない、数珠の正しい作法とは?

仏式のお葬式や法要で欠かせないもののひとつに「数珠(じゅず)」があります。熱心な仏教徒ではなくても、自分の数珠をもっている人はたくさんいらっしゃるでしょう。では、なぜお葬式に数珠が必要なのか、そもそも数珠とは何なのか、ご存知ですか? 今回は数珠について少し詳しくご説明します。

そもそも、数珠とは何のためのもの?

数珠は本来、唱えたお経の回数を数えるために使われる仏具。お経を唱えるごとに一珠ずつ繰っていくことから、「数珠」という名前がつきました。「念珠」とも呼ばれますが意味はかわりません。

数珠の玉数は煩悩と同じ108玉の「本連」が基本で、54玉の「半連」、27玉の「四半連」、1080玉の「百万遍念珠」などもあります。最近ではアクセサリー感覚で使える「数珠ブレスレット」などもでまわるようになりました。

数珠の起源と素材

数珠の起源については諸説ありますが、古代インドのバラモン教の聖典に記される「連珠」だとする説が一般的。その「連珠」を釈迦が使ったことから、法具として用いられるようになったと伝えられています。
数珠が日本へ入ってきたのは、552年の仏教伝来のころだと考えられています。古代史の資料によると、当時の数珠は宝石や貴金属でできた貴重品であり、限られた者しか使えませんでした。中世に入り念仏信仰が広まって一般の人々も数珠をもつようになると、素材も多様化。現在では菩提樹や紫檀など木や木の実のもの、水晶や翡翠などの天然石、真珠、琥珀、珊瑚など、さまざまな素材からつくられています。

数珠の種類と選び方

数珠には大きく「本式数珠」「略式数珠」の2種類があります。

●本式数珠:正式な数珠で、「親珠」「主珠」「弟子珠」「露珠」「浄明珠」「中通しの紐」「房」などで構成されています。宗派によって、それぞれ正式とするカタチが違います。

●略式数珠:「片手数珠」と呼ばれる珠の数を減らした数珠。すべての宗派で使うことができます。

なお、数珠には男性用・女性用があり、珠数や珠の大きさなどに違いがあります。基本的には男性が女性用の数珠を使うなど混同した使い方はしませんが、宗派や用途によっては男女同じものを使う場合もあります。

数珠の選び方

数珠には男性用・女性用がありますので、自分の性別に合わせてチョイスします。本式数珠と略式数珠の2タイプありますが、どちらを選んでも基本的には問題ありません。

●本式数珠の場合:家の宗派のものを選びます。結婚するなどして「家」が変われば、そのときの家の宗派に合わせて買い替えるのが一般的です。

●略式数珠の場合:宗派を問わず選べます。ただし、本式数珠をよしとする宗派もあるので、まずはご自分の宗派を確認するのがいいでしょう。

また、本式数珠と略式数珠の両方を所有し、「自分の家での法要には本式数珠」「宗派の違うお葬式には略式数珠」と使いわける人もいるようです。 タイプを決めたら、素材や色が好みのものを選びます。価格帯に幅があるので、ご予算を決めておくといいでしょう。

数珠を買うタイミングは?

数珠をもつべき年齢にルールはありませんが、社会人になるタイミングで自分の数珠を購入される方も多いようです。近年は物心つくころから数珠をもたせる向きもあり、子ども用の数珠も多数販売されています。また、数珠は“徳を施す”縁起のいい贈り物でもあることから、大切な人の人生の節目にプレゼントするというケースもあるようです。


お葬式での数珠の作法。

略式数珠は故人の宗派を問わずに使えますが、本式数珠をもつ場合は自分の宗派のものを使います。

お葬式では、はじまりから終わりまでずっと数珠を身につけているのがマナー。お焼香のときだけ使うのではなく、常に左手で数珠をもっておきましょう。

数珠の持ち方や合掌の仕方は宗派によって異なりますが、基本的には左手にかけて房が真下にくるようにもちます。座っているときは、左手に持つか左手首にかけておきましょう。移動のときに椅子や座布団の上などに置きっぱなしにしないように気をつけてください。


合掌のとき、数珠はどうすればいいの? 合掌礼拝と数珠の持ち方について。

合掌とは、両手を合わせて拝むこと。仏教では、右手は仏、左手は衆生(人々・生命)を表しています。両手を合わせて「合掌」することで仏と人が一体となるようにし、成仏を祈るのです。

一般的な合掌礼拝の作法

(1)背筋をまっすぐに伸ばします。両肘はカラダにつけず、両手をカラダの中央くらいの前方にあげます。
(2)10本の指をしっかり伸ばし、指が閉じた状態で両手のひらをぴったりと合わせます。このとき、肩のチカラは抜いてください。
(3)合わせた手の位置は胸の高さで、指先は45度ぐらい前に傾けます。軽く目を閉じて、そのままの姿勢で頭を軽くたれて礼拝します。
立拝の場合は立って、座拝では座って行いましょう。

宗派を問わない略式数珠の持ち方

略式数珠・本式数珠に関わらず、数珠は基本的に左手でもちます。房を下にして輪をつかむようにするか、左手首にかけておきましょう。
合掌時は、左手の親指と人差し指の間にかけて手を合わせるか、合わせた両手の親指と人差し指にかけるなどの方法があります。どちらの場合も、親指で数珠を軽くおさえるようにしましょう。


宗派による数珠と合掌の違いをご説明します。

仏教にはさまざまな宗派があり、本式数珠はそれぞれの宗派の正式な数珠。その仕立てや作法は宗派によって異なるようです。なお、同じ宗派でも地域や流派で違いがみられ、こちらで紹介するものと相違する場合もあります。詳しいことは菩提寺に訊かれるのが確実です。

天台宗

天台宗の本式数珠は、主玉108・親玉1・天玉4から成る大きな輪から、弟子玉が連なる2本の梵天房が出ている独特な形状です。主玉には丸玉ではなく平玉が使われることがあるのも特徴のひとつです。

●持ち方
親玉が上にくるように二重にしてもちます。房を手の外側に垂らすか内側に垂らすかは、流派によって異なるようです。合掌時は両手の人差指と中指の間に数珠をかけ、房が下に垂れるようにします。そして、そのまま数珠をはさむように両手を合わせます。

真言宗

真言宗は数珠を重要視している宗派で、本式数珠は「振分数珠」とも呼ばれています。また僧侶用の数珠と一般的に使われる数珠も異なります。
一般の数珠は、主玉108・親玉2・天玉4から成り、2つの親玉からはそれぞれ弟子玉と露玉がついた2本の房がついています。なお、片方の親玉から垂れる房には浄名玉がついています。

●持ち方
親玉を上に二重にかけてもちます。合掌時は両手の中指に親玉と房がそれぞれ中指の外側にくるようにかけ、そのまま数珠をはさむように手を合わせます。

浄土宗

浄土宗は念仏を大切にする宗派で、本式数珠をもつ人が多いようです。浄土宗の本式数珠には「日課数珠」「百八数珠」「荘厳数珠」の3種類あり、一般の人は「日課数珠」を使います。
日課数珠は主玉が108玉ではありませんが、二つの輪を交差させた独特の形状にすることでお経をたくさん数えられるようになっています。男性用の数珠は32,400回数えられることから「三万浄土」と呼ばれ、女性用は64,800回を数えられるため「六万浄土」と呼ばれています。それぞれの数珠は、主玉・親玉・福玉が二連の輪から成り、銀輪によって浄名玉・弟子玉・露玉がついた房とつながっています。

●持ち方
二連の数珠のうち福玉が入っていないほうの輪を左手の親指と人差指の間にかけ、もうひとつの輪を人差し指と中指の間に挟んでそのまま数珠を握ります。合掌のときは二つの輪をそろえて房が手前に来るように両手の親指と人差し指の間にかけ、親指で押さえるようにします。

浄土真宗

浄土真宗は、信心をもって往生すればすぐに成仏できる「往生即成仏」という考え方が特徴です。煩悩を消すために数珠を繰る必要がなく、お経を読む回数を数えることが重要視されていません。そのため、数珠の房が「蓮如結び」で数取りできないようになっています。
浄土真宗の数珠には玉の数や形状などについての決まりはあまりないようですが、男性用と女性用では違いがあり、男性用は主玉が22玉で一重のもの、女性は親玉が108玉あるものを二重にして使います。

●持ち方
房を下にして左手にもちます。合掌時は両手の親指と人差し指の間にかけて手を合わせます。このとき、男性用や本願寺派の女性用の数珠は房が下にくるようにしますが、大谷派の女性用の数珠では房が手の左側に垂れるようにします。

臨済宗

臨済宗は座禅を重んじる禅宗で、数珠についての規定や作法に厳しい決まりはないようですが、「煩悩を消し去り身を清めるご利益がある」といわれており本式数珠をもつ人が多いそうです。
臨済宗の本式数珠は主玉108・親玉1・向玉1・天玉4・ボサ1で、男性用には紐房が1つ、女性用は頭付房が2つついています。

●持ち方
房が下にくるよう、左手の親指と人差し指の間に二重にかけて軽く握ります。合掌のときは左手の親指と人差し指の間にかけて房が下にくるようにし、数珠をもたない右手を合わせます。

曹洞宗

曹洞宗も禅宗のため、数珠についての決まりはあまりありません。 数珠のカタチも臨済宗と同様、主玉108・親玉1・向玉1・天玉4・ボサ1で、主玉がつくる大きな輪に銀輪が1つついています。男性用の数珠には紐房が1つ、女性用の数珠には頭付房が2つついているという点が異なります。

●持ち方
臨済宗と同様に手にもつときは房が下にくるよう、左手の親指と人差し指の間に二重にかけて軽く握ります。合掌のときは左手の親指と人差し指の間にかけて房が下にくるようにし、数珠をもたない右手を合わせます。

日蓮宗

日蓮宗では本式数珠を持つことが檀家・信徒の心得とされています。 日蓮宗の本式数珠にはいくつかの種類がありますが、そのうち一般の檀家・信徒や僧侶が修行で使うのが「勤行数珠」、法要などの儀式で僧侶が使うのが「装束数珠」です。 一般的なのは、主玉108・親玉2・天玉4で、片方の親玉からは弟子玉のついた房が2つ、もう片方からは弟子玉のついた房が2つと数取玉がついた短い房が1つでています。5つの房があるのは日蓮宗の数珠だけで、「玉房」「菊房」と呼ばれる丸い房がついているのも特徴です。

●持ち方
左手で軽くにぎります。合掌時は二重にして房が下にくるように左手の親指と人差し指の間にかけ、右手を合わせます。またお題目を唱えるときは、房が3本出ているほうを左手の中指にかけ、ひとひねりして房が2本のほうを右手中指にかけます。房を手の甲の側に垂らして合掌します。

このように数珠には宗派によるしきたりがあり、それをむずかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、数珠の意味やマナーを知ることができれば、それを使うお葬式や法要といった儀式についての理解が深まります。そこから、合掌に込める故人への想いもよりいっそう深まるのではないでしょうか。


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