お葬式コラム

実はいろいろある骨壺。種類や選び方をお教えします!

日本では、亡くなった人のご遺体は火葬されるのが一般的。そして、火葬後に残ったお骨は「骨壺」に納められます。葬儀式と火葬は同日に行われることも多いため、お葬式の準備では骨壺も用意する必要があります。
この骨壺、実は多くの種類があることをご存知でしょうか? 素材やサイズ、デザインなどのバリエーションが豊富で、どれを選べばいいのか迷われる方もいます。今回のコラムでは意外に奥深い骨壺を取り上げ、意味や歴史などの基本情報から選び方まで丁寧にご説明します。

骨壺とは。なぜ使わないといけないの?

「骨壺(こつつぼ)」は、人や動物のご遺骨を納める容器のこと。ほとんどのご遺体が火葬される現代の日本では、ご遺骨を骨壺に納めてお墓などの収蔵場所に納骨するのが一般的です。そのため、お葬式の準備のひとつとして骨壺を用意しておく必要があります。

いつから使われているもの?

日本での骨壺の歴史は古く、飛鳥時代には「蔵骨器(ぞうこつき)」や「骨蔵器」と呼ばれるお骨を入れる容器があったといわれています。ただし、広く普及するのは、まだ先の話。ご遺骨を納める骨壺は、火葬の歴史と関連しているからです。
古代の日本では人が亡くなると土に埋めて葬っていました。平安時代に火葬が広まったともいわれますが、行われていたのは皇族や貴族など高貴な人々。ほとんどの人は土に埋める土葬や自然のなかに放置する風葬で供養されていました。
土葬や風葬から火葬へと大きく変わっていったのは、明治時代。土葬するための土地不足や、伝染病で亡くなった方のご遺体を衛生的に埋葬する必要性などから火葬が推奨され、やがて義務化されていきます。人の身体は火葬するとお骨が残るため、ご遺骨を収納する容器が入用になります。そこから、庶民にも骨壺が普及したといわれています。

骨壺は絶対に必要なの?

〈なぜ、骨壺が必要なのか〉は、骨壺の役割から考えてみるといいかもしれません。
火葬されての焼け残ったご遺骨は高温です。拾骨はお骨の熱が冷めるまで待てないので、熱に耐えられる容器が必須。また、ご遺骨はお墓などの収蔵場所で長期間保管されます。ご遺骨が散らばらず、カビや損傷からも守れるよう丈夫な容器である骨壺に入れて安置するのです。
とはいえ、ご遺骨を骨壺に入れない風習の地域があったり、樹木葬など近年人気の自然葬ではご遺骨を撒いて埋葬したりもします。骨壺を使用しないケースがあることも覚えておきましょう。

骨壺以外にも必要? ご遺骨を安置する道具。

火葬場からご遺骨を持ち帰るとき、骨壺を直に手にしている人は見かけません。カバーするものなど、骨壺はほかの道具とセットで使うことがほとんどです。骨壺以外にご遺骨の安置のために必要な道具をいくつかご紹介しましょう。

骨箱

葬を終えた故人のご遺骨は四十九日法要まではご自宅の「後飾り祭壇」に安置します。このとき、ご遺骨を納めた骨壺をそのまま飾るのではなく、骨箱に入れて安全に保管します。それが、「骨箱(こつばこ)」です。
形状は四角で、桐などを素材とした木箱が定番。外側は銀糸や金糸で織った布や飾り房など美しい装飾が施されているものが多く、近年はカラフルなデザインの骨箱も登場しています。別布でつくったカバーで骨箱を覆うタイプもあります。豊富なバリエーションのなかから、お好みの骨箱を選ぶといいでしょう。
四十九日法要を終えてお墓に納骨するときは、骨箱からだして骨壺だけを納めるのが一般的。納骨をせず、手元供養する場合は、骨壺を骨箱に入れたまま自宅で保管することが多いようです。

ふろしき

火葬場からご自宅にご遺骨を運ぶときに骨壺や骨箱をそのまま手にしていると、ご遺骨をもっているのがわかってしまいます。公共機関で持ち運ぶ場合、周囲の目が気になることもあるでしょう。さらに、持ち手のない骨壺や骨箱は抱えてもつしかなく、持ち運びが不便です。
ご遺骨だとわからないようにし、持ち運びやすくするために用いられるのが「ふろしき」。耐水性のあるポリエステルを素材とした白色のふろしきが定番で、パープルやグレーカラーのものを使うこともあります。持ち運ぶときにほどけないよう、しっかり包みましょう。無事にご自宅へご遺骨を運べたら、ふろしきを外して後飾りの祭壇へ安置します。

〈本骨箱のふろしきの包み方〉
(1)ふろしきをひし形に広げ、骨壺の正面を自分側にして中央に置きます。
(2)後ろ側にあるふろしきの角を骨箱の前方へ、手前側の角を後方へもっていきます。
(3)左右のふろしきの角を骨箱に添うようにして持ち上げて交差させ、上部の中央でしっかり結びます。
(4)結び目を引っ張り、しっかり結べているか確認。最後にカタチを整えれば完成です。

納骨袋

地域や宗派、お墓によっては、骨壺でではなく「納骨袋」や「骨袋」と呼ばれる袋にご遺骨を入れ替えて納骨するケースがあります。形状やデザインに決まりはありませんが、通気性のいい白色のさらしを使った巾着袋が一般的。シルクを素材にしたり、花の刺繍を施したりした高級品もあります。宗派によっては納骨袋にお経や念仏を入れるため、菩提寺に宗派にあったものを聞いておくといいでしょう。
納骨袋を使用するのは主に関西地域や北海道で、自然回帰を目的とした樹木葬でも納骨袋に入れて埋葬します。北海道でも地域によっては方法が異なり、ご遺骨を桐箱に直接収骨する、木綿のさらし袋に入れる、さらし自体に包むなどで納めたりもするそうです。

東日本と西日本で違う? 骨壺のサイズ。

骨壺の大きさを図る単位は「寸(すん)」で、1寸は約3cm。骨壺には、2寸(直径:約6.5cm、高さ:約7.5cm)から尺寸(直径:約31.5cm、高さ:約34.0cm)までのサイズバリエーションがあります。骨壺の適正サイズは、地域による拾骨の風習や納骨の方法などによって変化するので詳しくご説明しましょう。

東日本は6寸から7寸が一般的

東日本でよく用いられる骨壺のサイズは6寸(直径:約18.2cm、高さ:約20.5cm)〜7寸(直径:約21.7cm、高さ:約25.5cm)です。
東日本では、火葬後に残ったお骨を残らず拾い上げる「全部拾骨」の文化があり、ひとつの骨壺にすべてのご遺骨を納めないといけないので大きめのサイズを準備します。そのため、納骨先であるお墓のカロート(ご遺骨を安置するスペース)も大きく設計されています。

西日本は少し小さめの5寸〜6寸が多い

西日本では、東日本より小さい5寸(直径:約15.5cm、高さ:約17.5cm)〜6寸(直径:約18.2cm、高さ:約20.5cm)の骨壺をよく使います。
西日本ではすべてのご遺骨ではなく、主要な部分のみを拾う「部分拾骨」が一般的。拾骨するのは、頭、喉仏、胸、腕、腰、足のお骨が多く、そのほかのご遺骨は火葬場に残しておきます。残ったご遺骨の取り扱いは自治体によって異なりますが、残骨灰として埋葬したり、貴金属を抽出してリサイクルされたりするようです。
また、納骨先であるお墓のカロート(ご遺骨を安置するスペース)は東日本より小さめ。東日本から西日本のお墓へ改葬すると、骨壺が入らない場合もあるので注意が必要です。

納骨袋

地域や宗派、お墓によっては、骨壺でではなく「納骨袋」や「骨袋」と呼ばれる袋にご遺骨を入れ替えて納骨するケースがあります。形状やデザインに決まりはありませんが、通気性のいい白色のさらしを使った巾着袋が一般的。シルクを素材にしたり、花の刺繍を施したりした高級品もあります。宗派によっては納骨袋にお経や念仏を入れるため、菩提寺に宗派にあったものを聞いておくといいでしょう。
納骨袋を使用するのは主に関西地域や北海道で、自然回帰を目的とした樹木葬でも納骨袋に入れて埋葬します。北海道でも地域によっては方法が異なり、ご遺骨を桐箱に直接収骨する、木綿のさらし袋に入れる、さらし自体に包むなどで納めたりもするそうです。

分骨や手元供養の骨壺は2寸〜4寸

骨壺には、2寸(直径:約6.7cm、高さ:約7.5cm)などの小ぶりなサイズもあります。こちらは分骨したご遺骨を収納するときに用いる骨壺です。分骨とは、〈ご遺骨を2つ以上にわけて供養する〉こと。分骨する理由としては、宗派の本山にご遺骨の一部を納める「本山納骨」や複数のお墓に納骨するためなどさまざま。最近はご遺骨をご自宅に安置して供養する「手元供養」が増えていますが、お部屋で大きな骨壺を保管するのはむずかしいもの。分骨して一部のご遺骨だけを小さな骨壺に入れ、ご自宅の祭壇に飾るケースが多いようです。
また、2寸などのミニサイズはペットのご遺骨を納める容器としても人気が高く、近年はペット用のミニ骨壺も数多く販売されています。

大きな骨壺は合祀用

8寸(直径:約25.5cm、高さ:約28.5cm)や尺寸(直径:約 31.5cm、高さ:約34cm)など、ビッグサイズの骨壺は一人分のご遺骨を納めるには大きすぎます。こちらは主に合祀で用いられる骨壺です。
合祀とは、〈合わせて祀る〉という漢字のとおり複数人のご遺骨をまとめて供養すること。通常の合祀では骨壺からご遺骨を取り出して埋葬しますが、大きな骨壺に複数人分のご遺骨を骨壺に納めるケースもあるそうです。

男女でサイズの違いはない

人間は男性と女性に体格差があります。そのため骨壺にも男性用と女性用があるのでは? と考える方もいます。実は、骨壺に男女の違いはありません。体格差によっての違いはあるものの、火葬後に残るご遺骨の量は男女でそう変わるものではないそうです。ほとんどの場合、男性の全部拾骨でも7寸の骨壺に納まります。

骨壺の素材。陶器だけじゃないの?

骨壺というと、白い陶磁器をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、供養のスタイルが多様化している現代では、さまざまな素材の骨壺が登場しています。

陶磁器

骨壺のスタンダードな素材といえば陶磁器でしょう。耐熱性があるため火葬直後の熱いご遺骨を納めやすく、長期保管にも耐えられる素材のため骨壺に適しているのです。
骨壺では、焼くと青緑色になる釉薬をかけた「青磁」や焼くと透明になる釉薬をかけた「白磁」のシンプルなデザインが一般的。そのほか、美しい模様を描いたものや釉薬をかけない素焼きの骨壺も販売されています。産地もさまざまで、有田焼や瀬戸焼、常滑焼、信楽焼などが知られています。

天然石

天然石も骨壺に使われる素材。大理石やオニキス、墓石にも使われる御影石などが加工されています。
天然石でつくられた骨壺は重厚な見た目で高級感があります。素材の特長として、通気性や速乾性、耐久性にすぐれているのも大きな魅力。ただし、重量が増します。持ち運びにくく、落とすと危険なので取り扱いにも十分に注意しましょう。

金属

骨壺には、金属素材のものもあります。ステンレスや真鍮、銅がよく使われ、加工しやすいのでさまざまなカタチや色の骨壺が販売されています。落としても壊れにくく、保存性にすぐれているところも骨壺に適しているようです。
金属を素材にした骨壺は手元供養用の小さなタイプが多く、デザインバリエーションが豊富。また、金属ならではの質感でスタイリッシュな印象も与えます。おしゃれな骨壺を選びたい方は、金属製の骨壺から探してみるといいでしょう。

ガラス

ガラスも手元供養向けのミニ骨壺によく使用される素材。透明感のあるガラスは見た目が美しく、一見して骨壺に見えないものも多いことからインテリアの一部として自宅供養したい方に人気です。
欠点は衝撃によって破損しやすいこと。落としてしまうと割れるため、取り扱いに注意が必要です。

木や紙

木材は骨壺を納める骨箱として使用されることが多いのですが、骨壺にも活用されています。あたたかみのある質感でナチュラルな色味なので、ご遺骨をやさしい雰囲気で安置できる魅力があります。さらに、空気中の水分を状況にあわせて吸収・放出する調湿作用をもっていることから、ご遺骨の状態をほどよく保てるのも特長。手元供養用として木材のミニ骨壺を購入される方も多いようです。
また、近年は樹木葬などの自然葬を選択する人も増えています。土のなかへそのまま埋葬できる紙製の骨壺も登場しています。

バイオマス

樹木葬に適した骨壺には、バイオマス由来もあげられます。「クレイ骨壺」とも呼ばれ、とうもろこしやホタテの貝殻など植物性・海洋性のバイオマス(再生可能な資源)を活用した骨壺です。
バイオマスは土のなかのバクテリアによって分解されるので、早ければ1年半、遅くとも数年で土へ還ります。環境にやさしい骨壺のため、樹木葬用の骨壺としても使用されています。

骨壺は形状がいろいろ。ふたのカタチも違います!

納骨用の骨壺は円筒形が定番。そのほか、八角形や四角形、壺型などもあります。近年はオーダーメイドの骨壺を制作する業者も増え、依頼すれば好みのサイズやカタチでつくり、装飾を施すことも可能です。

また、伝統的な骨壺はふたの形状が2種類あります。それぞれの特長をご紹介します。

白並型

「白並(しろなみ・しらなみ)型」は伝統的なふたのカタチで、お墓に安置されているご先祖の骨壺はこちらのタイプが一般的です。
骨壺の上にふたをのせる仕様で、ふたの端が本体に入り込むようになっています。

切立型

骨壺の本体にふたが覆いかぶさるようになっているのが「切立(きりだて)型」です。ふたの端は本体の外にあり、内部に湿気がこもりにくくなっているのが特長です。
ご遺骨は湿度の影響を受けやすく、お墓やご自宅に長期間安置しているとカビが発生してしまう恐れもあります。そのため、骨壺に湿度を溜め込みにくい仕様の切立型が現代の骨壺の主流になっています。

骨壺の選び方。どれを選べばいい?

骨壺はさまざまなザイズや形状、デザインがあるため、いざ選ぶ段階になったときに迷ってしまうこともあるでしょう。骨壺選びのポイントをいくつかお教えします。

安置場所にあわせて選ぶ

ご遺骨を納めた骨壺は、お墓やご自宅などの場所に安置します。〈安置する場所に置けるのか?〉というのが骨壺選びの第一歩。納骨するお墓のカロートに余裕があれば大きな骨壺で問題ありませんが、スペースが狭ければ小さめのサイズを選びましょう。お墓は湿度も高くなるので、湿気を逃す素材や形状の骨壺を選ぶといいでしょう。
納骨堂に納める場合は、施設や安置形式によってスペースの広さが異なります。使用する予定の骨壺が適正であるのかを、施設に事前確認しておくと安心です。樹木葬を希望するときも同様に、骨壺の要否や使用可能な骨壺の仕様などを確認したのちに適したものを準備します。
分骨するなら、必要分の骨壺を用意。納めるご遺骨の量や安置するシーンにあわせてチョイスしましょう。

地域の風習にあわせる

骨壺のサイズは地域によって異なります。東日本は7寸、西日本は6寸というのが一般的ですが、それに当てはまらない土地も存在します。不安を感じるようなら、骨壺の購入前に年配の親族など地元の風習に詳しい人に聞いておくと安心です。周囲に確認できる人がいない場合は、葬儀を担当する葬儀社のスタッフに相談するとアドバイスがもらえます。

好みのデザインで選ぶ

最近は多種多様な骨壺がそろっています。カラフルな色合いや派手な装飾が施されたものもあり、骨壺といえば白色でシンプルな円筒型というイメージを覆すようなおしゃれな骨壺もたくさん。骨壺のデザインにこれといった決まりごとはないので、故人のキャラクターを反映したり、ご家族のお好みで選んだりしても問題ありません。骨壺は伝統的な白色のタイプにして、骨箱や骨壺カバーで装飾を加えてみてもいいかもしれません。
ただし、親族などには派手な骨壺によい印象をもたない人がいるかもしれません。〈故人のイメージにあわせた〉などの説明を加え、理解を得ておくといいでしょう。

予算にあわせて選ぶ

骨壺はサイズや素材、デザインが多彩。価格もさまざまで、安いものは1,000円から、高級品は10万円以上、有名窯元の作品であれば数十万円する骨壺もあります。とくに分骨や手元供養に用いられるミニ骨壺はバリエーションが豊富で、価格の幅も広い。あらかじめ予算を決めておき、その範囲内のものをピックアップして選ぶと予算オーバーにもつながりません。

セットの骨壺でなくてもいいの?

近年は、必要な物品やサービス一式が含まれているプランでお葬式をあげる方が増えています。多くのプランには骨壺や骨箱がセットになっており、喪主が骨壺を準備する必要がありません。
とはいえ、プランに入っているのはオーソドックスな白い陶磁器の骨壺がほとんど。手間が省ける反面、故人のキャラクターやご家族の好みは反映できないのが難点です。
希望の骨壺に変更できるか? は各葬儀社やプランによって対応が異なります。依頼する葬儀社に相談してみるといいでしょう。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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