お葬式コラム

位牌について。どんなものを準備すればいい?

人が亡くなり、お葬式を営むにあたり準備するものがいくつかあります。そのひとつが、「位牌」。ご自宅の仏壇に安置している位牌に、手を合わせている方もたくさんいらっしゃるでしょう。
ところで、位牌には種類があるのをご存知でしょうか? さまざまなタイプがあるため、準備するときは適したものを選ぶ必要があります。今回のコラムでは位牌を取り上げ、意味や役割、選び方のポイントなどを詳しくお伝えします。

そもそも位牌には、どのような意味があるの?

「位牌(いはい)」とは、戒名や法名などを記した木製の札(牌)のこと。仏教の儀式で使用される道具(仏具)のひとつで、基本的には仏壇に安置されます。

起源は諸説ありますが、中国の儒教だともいわれています。日本へは禅僧が伝え、仏教に転用したのではないかと考えられているそう。位牌は南北朝時代を舞台にした物語『太平記』に登場しているので、十四世紀には日本にあったのでしょう。そこから庶民にも伝わっていき、現代の葬儀に近い作法が行われるようになった江戸時代には広く普及していたようです。

ところで、わたしたちは仏壇に祀られた位牌に日々手を合わせ、お参りしています。それは、位牌が故人を象徴し、魂が宿っていると思われているから。日本では古代より、木や岩などに神霊がよりつく「依り代(よりしろ)」という信仰がありました。そのことから、位牌は“故人の霊魂が宿る依り代である”と考えられ、供養の対象として見られるようになったようです。

故人の象徴となる位牌には、戒名、没年月日、俗名(生前の名前)、享年を記すのが一般的。その位牌は誰の魂を宿しているのか、いつ亡くなったのかなどがすぐに把握できるようになっているのです。

位牌のない宗派もある

仏教には宗派が存在し、それぞれに異なる考え方をもっています。なかには位牌を用いない宗派があり、そのひとつが浄土真宗です。浄土真宗には、“人は亡くなるとすぐに浄土へ行き、仏さまになる”という往生即成仏という教えがあり、魂を宿した位牌を祀って供養する必要がないのです。 浄土真宗の仏壇には位牌ではなく、亡くなった人の情報を記載している「過去帳(過去帖)」や法名などを白い紙に記した掛け軸「法名軸」を安置して礼拝します。

位牌には、お葬式で使う白木位牌と仏壇に安置する本位牌がある。

位牌といえば、仏壇に安置している黒い塗りの木の札を思い浮かべる方も多いと思いますが、それは「本位牌」と呼ばれるお葬式後に準備するもの。通夜式や葬儀・告別式は亡くなってから時間があまりないため、仮の位牌である「白木位牌」を用いて執り行います。

白木位牌

人が亡くなると、まず仮の位牌をつくります。白木でつくられているため「白木位牌」と呼ばれることが多く、「仮位牌」「内位牌」ともいいます。お葬式で使うものなので、葬儀社が用意してくれる場合がほとんどです。
白木位牌には戒名、俗名(生前の名前)、亡くなった年月日、享年を記すのが一般的。それらを紙に書いて貼りつける場合もあります。書き入れは、戒名を授けてくれた僧侶が行うのでまかせましょう。
白木位牌は四十九日まで使用するのが通常で、ご自宅の後飾りの祭壇にもこちらを祀ります。四十九日の法要後は本位牌に切り替えるので、仮の位牌の役目は終了。菩提寺などの寺院でお焚き上げをしてもらったり、お墓に納めたりして供養します。

本位牌

「本位牌」は、四十九日を境に仮の位牌であった白木位牌から切り替える正式な位牌。仏壇にはこちらを安置します。 仏教では故人は七日ごとに裁判を受け、四十九日には最後の裁判を受けるとされています。その裁判で故人の行き先が決まるので、仮の位牌から本位牌へと魂を移すのです。そのとき、「魂入れ」「開眼供養」と呼ばれる位牌に魂を宿してもらう儀式を僧侶に行ってもらいます。
本位牌はご家族が手配するもので、仏壇仏具店などで購入するのが一般的です。近年はインターネットでも販売されているので、活用してもいいでしょう。多様な種類があるので、仏壇のサイズや好みに応じてお選びください。
本位牌にも戒名と俗名、亡くなった年月日と享年を刻みます。文字入れの作業には時間がかかるので、早めの依頼をおすすめします。

寺位牌

「寺位牌」は、自宅の仏壇ではなく寺院に安置するための位牌。菩提寺をはじめとした寺院にお願いし、位牌堂(位牌壇)などに安置いただきます。事情があってご自宅に仏壇を置けない場合や永代供養を希望される方から選ばれることが多く、ご自宅の仏壇に加えて寺院で供養いただくために寺位牌をつくるケースもあるそう。
位牌の安置の条件は寺院によって異なり、料金が必要になったり、サイズによっては持ち込めなかったりする場合もあります。寺位牌を望む場合、まずは菩提寺など安置を希望する寺院へ事前に相談しておきましょう。

本位牌にはタイプがある。

本位牌には、形状などが異なるいくつかのタイプがあります。

札位牌(板位牌)

亡くなった人、一人ひとりにつくられる個別の位牌です。新しく位牌を準備する場合は、こちらのタイプがほとんど。札板に台座と足がついたカタチが一般的で、素材や塗りによってもさまざまです。

例えば…

●塗位牌:ヒノキや松などの天然木を漆で黒く塗ったもの。安価なものは、合成漆などが使われているようです。金粉や金箔などで装飾されることが多く、戒名などの文字は彫り込むか、書き入れをし、金色を使った金文字にするのが一般的です。

●唐木位牌:黒檀や紫壇、白檀などの高級木材を素材とし、木目の美しさを活かすために透明感のある塗料で仕上げた位牌。重量感があり、耐久性にも優れているといわれています。唐木とは、もともと中国を経て輸入してきた海外産の木材のこと。昔から高級木材だとされています。

●モダン位牌:近年は現代的な仏壇が増えており、それに合わせて位牌もモダンなデザインが登場しています。自由度が高く、素材は木材だけでなくクリスタル製などもあるようです。カタチやカラーのバリエーションも豊富で、洋室が多くなった現代の住まいにマッチするおしゃれな位牌も選べます。

繰り出し位牌(回出位牌)

「繰り出し位牌(回出位牌)」は「くりだしいはい」と読み、複数の位牌をまとめて安置するタイプ。位牌の枠のなかに複数の札板を納めるようになっており、ご先祖の位牌をひとつにまとめられます。形状は屋根や扉がついた豪華なものから、シンプルなデザインまでさまざま。札板はひとりの故人の位牌なので、戒名や俗名、亡くなった年月日、享年が記されます。記入は菩提寺などの僧侶か、購入した仏壇仏具店にお願いするといいでしょう。ご家族が書き入れてもかまいません。
繰出し位牌の枠には通常8〜10枚の札板が納められ、一枚目に「○○家先祖代々之霊位」と記した黒塗りの板を入れ、どの家の位牌であるのかを示します。二枚目からは命日が近い順番に板札を重ね、一番前にある故人の命日が過ぎたら板札を一番後ろに回して繰出していきます。

浄土真宗は位牌ではなく過去帳を飾る

浄土真宗は位牌がないため、過去帳や法名軸を仏壇に飾ります。「過去帳(過去帖)」は、亡くなった人の情報が記載されている仏具のひとつで、法名や俗名、亡くなった年月日、享年が書き入れられます。記入する人に決まりごとはなく、ご家族がしても、僧侶に依頼してもいいでしょう。

位牌は基本的に好みで選んでいい。では、位牌を選ぶときのポイントは?

勘違いされがちですが、位牌に宗派によるしきたりはありません。お好みのものを自由に選んで問題ないのです。
とはいえ、身内の逝去ではじめて位牌を手配する方などは、購入時に迷ってしまうこともあるでしょう。位牌は、大切な故人の魂が宿るといわれます。ポイントを押さえ、適切なものを選ぶようにしてください。

安置する場所に合わせて選ぶ

位牌はご自宅に安置します。ほとんどの場合は仏壇に祀られるので、位牌は仏壇のサイズやデザインに合わせて選ぶといいでしょう。大きな位牌を用意しても、仏壇が小さければ不釣り合いですし、ご本尊にかぶってしまう恐れもあります。それとは逆に、大きな仏壇なのに位牌が小さいとバランスの悪さが目につきます。また、近年増えている現代的なデザインの仏壇であればモダン位牌はマッチしますが、伝統的な仏壇に置くと浮いてしまうかもしれません。
位牌はお好みで選んでかまいませんが、仏壇などに安置して日々手を合わせる対象です。しっくり似合うものにすると、落ち着いてお参りできるのではないでしょうか。

ご先祖の位牌とのバランスをとる

ご自宅の仏壇にすでにご先祖の位牌があるのであれば、サイズのバランスをとります。ご先祖の位牌より大きなものは失礼にあたるため、同じ大きさ、または小さめのサイズを選ぶことが大切です。
位牌のサイズは尺貫法が基準となり、単位は「寸」。お店では「号」と表されていることも多いようです。〈一寸(号)=3.03cm〉なので、4寸なら約12cm、4.5寸なら約15cmになります。ここでの注意点は、この寸法が札の高さであって全体の高さとは異なること。位牌を購入する前にご先祖の位牌の札の高さと幅、総丈を測っておき、それより大きくならないサイズをお選びください。
また、繰り出し位牌がすでにある場合は、札板に故人の戒名などを書き入れて納めるといいでしょう。

予算も選択肢のひとつ

モダン位牌なども登場し、近年は位牌のバリエーションが豊富。それゆえ、価格の幅は広がっています。無理して高額なものを用意する必要はないので、故人のことを想いつつ予算の範囲内で適切なものを選ぶとよいでしょう。
位牌の価格は、サイズや素材、塗りによって異なります。

大まかな相場としては…

●塗位牌:合成漆なら1万円程度、本漆なら4万円以上し、金装飾の有無や国内産か海外産かによっても大きく価格が変化します。

●唐木位牌:使用する素材によって価格は変動し、2万円〜7万円が相場だとされています。高級木材を素材にすると10万円以上する場合もあるようです。

●モダン位牌:素材やデザインの自由度が高いので価格はさまざま。1万円程度から10万円以上する高級品もあります。価格帯としては3万円程度が多いようです。

●繰り出し位牌:位牌本体は価格帯に幅があり、安いものは2万円程度、高級なものは20万円前後するそう。なかに納める札板のみであれば数千円で購入できます。

位牌は本当に必要? 処分はどうすればいい?位牌についての疑問にお答え!

最近は仏壇をもたないご家庭もあり、位牌にふれる機会がないお子さまも多いのだとか。普段からなじみの薄いものであれば、本当に必要か?と疑問も生まれるでしょう。こちらでは、位牌についてのよくある疑問にお答えします。

位牌はつくらないといけないもの?

仏教では、基本的に位牌は必要。位牌は亡くなった人の魂が宿る依り代で、残された者が呼びかけると故人の魂は位牌に戻ってくると考えられているからです。つまり、位牌がないと魂は戻ってくる場所を失い、ご家族も故人の魂に呼びかけることができずに供養の方法にとまどうことになるのです。
とはいえ、近年は手元供養など、ご自宅に仏壇を備えない供養も増えてきました。無宗教で故人を供養するケースもあり、位牌ではなくご遺骨や遺影を故人の象徴として安置している方もいらっしゃるようです。
現代は弔いの多様化が進み、“こうしなければいけない”という決めつけは薄れました。しかし、先祖が行ってきた伝統的な弔いには意味があります。それを踏まえ、ご自分らしい選択をしてみてはいかがでしょうか。

位牌を処分したいときはどうしたらいい?

位牌が古くなってつくり替えたいときや、三十三回忌や五十回忌で「弔い上げ(とむらいあげ)」となったときなど、位牌を処分しなくてはいけない場合があります。手元に置けない位牌はどうすればいいのか? 基本的には2つの方法があります。
ひとつは、「お焚き上げ」。菩提寺などの寺院に位牌をもっていき、焼いてもらってカタチをなくし、天に還す方法です。お焚き上げの前には「閉眼供養」や「魂抜き」と呼ばれる儀式を行い、魂を抜いてもらいます。
もうひとつは「永代供養」。菩提寺などの寺院に位牌を預けて供養をお願いする方法です。位牌のカタチを残したままにできるので、なんらかの事情でご自宅に安置できない方や継承者がいなくて行く先のない位牌のなどは、こちらがおすすめです。寺院によって預かる期限があるなど条件が異なるので、お願いする場合は事前に相談しておくといいでしょう。

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