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終活と聞くと、「60~70代になってからはじめること」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、最近では30代から終活の準備をはじめる方も少なくありません。では、30代からの終活にはどのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、30代終活のメリットとやるべきことについてご紹介します。
まずは、終活とは何か?について改めておさらいしておきましょう。
終活にはさまざまな定義がありますが、要約すると以下の3つの要素にまとめることができます。
「人生の終焉を意識して、残りの人生を有意義に過ごす方法を考える」これが終活の一番の目的です。終活というとネガティブなイメージを持ってしまう方もいるかもしれませんが、今の暮らしの充実度を高めるため活動のひとつと捉えると考えやすいでしょう。
死を間近にして「もっと家族のために時間を使うべきだった」「仕事よりも自分のやりたいことを優先するべきだった」など、後悔が頭をよぎったという話を聞いたことがある方もいるでしょう。人生の終焉を意識してライフプランを考えることで、「最期の瞬間に後悔しない選択」ができる他、早めに準備をはじめられるようになります。
終活ではさまざまな活動を行いますが、中でも重要なのが身辺整理です。財産・物品・人間関係といったものを仕分けし、整理整頓します。または、財産や物品を誰にどのように相続するのかを考えておくことも終活の身辺整理に含まれます。事前に身辺整理を行い、エンディングノートなどにまとめておくことで、自分の死後の処理も残された家族がスムーズに行えます。
なお、具体的な身辺整理を進めるには30代は早すぎるかもしれません。その代わりに、自分の子どもに残してあげたい財産の総額を考えてみたり、死後も資産になるような不動産の購入を検討したり、今考えられることをメインに考えてみるとよいでしょう。また、親の身辺整理を手伝ってみるのもおすすめです。
30代で終活をはじめるきっかけとして多いのが、「昇進・転職などによる責任の増加」「結婚や出産によるライフステージの変化」などです。部下ができたり家族が増えたり、人生の節目のタイミングで終活に興味を持ち始める方が多いようです。
次に30代から終活をするメリットについてご紹介します。代表的なのは以下の3つです。
30代から終活をはじめる最大のメリットは、現実的で実現可能なライフプランを考えられるという点です。30代は「結婚・出産・マイホーム購入・転勤・転職」といったライフイベントが発生する時期ですが、人生の終焉を見据えて「どのような最期を迎えたいか」から逆算することで、より現実的で具体的な選択肢を選ぶことができます。また、30代であればまだまだ挽回ができるため、方向修正が効きやすいのもポイントです。
30代とまだまだ若くても、万が一の病気やケガで動くことができなくなったり、亡くなってしまったりする可能性があります。早い段階で身辺整理や死後の希望をまとめておけば、残された家族の負担を軽減することができます。早めに終活をすることで、万が一の事態に備えることができます。
30代は、ご両親もまだまだ健在で、元気に活動されている方も多いでしょう。ご両親と一緒に終活を行えば、両親の死後に必要な遺品整理の負担を軽減することができます。また、両親の身辺整理を手伝った経験を、自分の身辺整理に活かすこともできます。
終活をはじめる前に、まずは以下のポイントを押さえておきましょう。
終活を進める上でもっとも重要なポイントは「焦らない」ということです。終活には、エンディングノートの作成・身辺整理など、やるべきことがたくさんあるため、一気に片付けようとすると、それぞれのプランが不十分になってしまいます。30代という早いタイミングでスタートするからこそ、焦らずにゆっくりと準備することを意識しましょう。
終活は、自分の家族や両親のために行う活動でもあります。特に身辺整理を行う際には、家族や両親の同意が必要になることも少なくありません。一人で行うのではなく、必要に応じて自分の家族や両親に相談し、一緒に進めるようにしましょう。
終活では、亡くなるまでやりたいことリスクを作りましょう。やりたいことを過剰書きで書き連ね、何歳までに行いたいか、その準備にどのくらいの時間と費用がかかるかをまとめておくのがおすすめです。やりたいことが多すぎる場合は、優先順位をつけましょう。
一度作成したプランに変化があった場合は、内容を見直して適宜修正しましょう。最初に決めたプランに縛られてしまうと、途中で選択を誤り、後々後悔してしまう可能性があります。最初に決めたプランに忠実である必要はないので、定期的に内容をチェックし柔軟に変更しましょう。
財産の運用や物品の整理・廃棄などは、必要に応じて専門家の手を借りましょう。お金に関わることは、専門的な知識が必要ですし、物品の整理や廃棄を個人で行うには限界があります。「自分と家族だけで」と考えず、専門家の手を借りることでよりスムーズに終活を進めることができます。
ではここから、30代からの終活でやるべきことを具体的にご紹介します。以下の4つをメインに終活を進めてみてください。
エンディングノートとは、「葬儀・お墓・形見分け」の希望の他、親族への個別のメッセージなどをまとめたノートのことです。また「毎月の支払や保険・年金・株・個人信託」に関する情報など、必要な情報をまとめて記載するケースもあります。
ただ、書くべき内容や形式に決まった形があるわけではないので、「終活で取りまとめた内容を書き留めるもの」といったイメージを持っておけばよいでしょう。なお、エンディングノートに記載する内容の例としては、以下を参考にしてみてください。
【例】
エンディングノートの保管場所を家族に伝えていないと、死後にノートを見つけてもらえない可能性があります。エンディングノートの存在や保管場所は事前に家族に伝えておき、万が一の事態になった際でも、すぐに家族が見つけられるようにしておきましょう。
身辺整理とは、財産や所持品の断捨離やデジタルデータや人間関係の整理などのことです。以下のポイントに注意して身辺整理を進めてみましょう。なお、30代はまだまだ若いため、一度だけでなく、「5年に一度」など、定期的に行うようにしましょう。
まずは、所持品の断捨離を行いましょう。まずは自分の所持品を把握することからはじめ、そこから捨てるものを残すものを仕分けします。捨てるものが多い場合は、遺品整理業者などに相談してみてください。結婚・出産・転職など、引っ越しを行うタイミングで進めてもよいでしょう。
パソコン・スマートフォンのデジタルデータを整理・管理しましょう。SNS・サブスクリプション・ネットショップなどなど、自身が保有しているアカウントを整理し、不要なものと必要なものに仕分けします。利用しているサービスの種類が多いと、死後に必要になる解約の手続きなどが増え、家族に負担がかかってしまいます。不要なものは、アカウントを解約しておきましょう。日頃から、必要なアカウントだけに絞っておくことで、万が一の際の手続きの負担を最小限に抑えられます。
人脈が多い場合は、この機会に人間関係を整理してみてもよいでしょう。自分にとって本当に必要な人間関係だけに絞ることで、ムダな時間・出費を抑えることにもつながります。
お金に関わる情報は、複雑になりやすいためエンディングノートなどとは別に財産目録を準備しましょう。また、銀行口座やクレジットカードなど、お金に関わる情報をまとめておくのもおすすめです。
財産目録とは、相続財産の内容(土地・建物・現金・預金など)一覧でまとめたものです。遺言書を作る際に添付をすることもあり、早めに準備を進めておくといざというときに便利です。インターネットなどにフリーのフォーマットがあるので、ダウンロードして財産目録を作ってみてください。まだそこまで財産がないという方は、どんな内容なのかを知っておくだけでも良いでしょう。
銀行口座やクレジットカードが複数枚あるという場合は、不要なものと必要なものを仕分けしてまとめておきましょう。ほとんど使用してしない口座やクレジットカードがある場合は、早めに解約をしておくと、死後の家族の負担を軽減できます。
30代は、まだまだこれから自分の資産を形成していく時期です。自分と家族の将来のために、資産形成の計画を練っておきましょう。「副業を行う」「投資を行う」「不動産を購入する」など、資産形成の方法はさまざまです。わからないことが多い場合は、ファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談してみるのもおすすめです。
最後に、病気やケガで入院・介護が必要になったときの準備を進めておきましょう。
自身の持病、服薬している薬、かかつつけ医の有無、保険証番号など、自身の医療にかかわる情報を整理します。また、いざというときに頼れる病院がない場合は、家族や親族に相談するなど、情報収集をしておくのも良いでしょう。
現在加入している保険を整理します。複数加入している場合は、重複した内容がないか、保険料の払い過ぎがないかなどをチェックして情報をまとめておきます。また、保険金・給付金の受け取り方法もまとめて、家族と共有しておきましょう。現在の保険だけだと不安だという場合は、追加の加入を検討するのもおすすめです。保険の見直し方がわからない場合は、保険のプロに相談するのもおすすめです。
最後に、独身と既婚で注意するべきポイントに違いがあるのかについてご紹介します。
独身の場合は、親族間で誰がどのくらい相続するかなどのトラブルが発生する恐れがあります。相続トラブルを予防するために、財産や所有物の整理を優先しましょう。また、誰に何を相続するかを明確に記載しておくことが重要です。
既婚の場合は、万が一に備えて保険金・給付金の受け取り方や手続きの方法を整理し、家族と共有しましょう。また、介護方法や延命治療などについても家族で話し合い、自分の希望を伝えておくとよいでしょう。
今回ご紹介したように、30代から終活をはじめるメリットは多々あります。自身の生き方を改めて考える良い機会になる他、万が一自分が亡くなったしまったときに、家族への負担を減らすこともできます。終活に興味をお持ちの方は、今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ少しずつ終活に取り組んでみてください。