お葬式コラム

おひとりさまの終活。なにをするべき?

「終活」という言葉が誕生したのは、2009年だといわれています。まだ歴史が浅いこの終活が浸透した背景には、少子高齢化で親が亡くなったあとに子どもの負担が増えた現状があるようです。さらに、現代は「ひとり世帯」も増加。
おひとりさまは〈まわりに迷惑をかけたくない〉と考える方も多く、終活に関心が高いといわれています。今回のコラムではおひとりさまの終活について考え、やるべきことをご紹介します。

そもそも終活とは。定義はあるの?

「終活」は、〈人生の終わりのための活動〉を略したもの。2009年ごろに登場したメディア発信の言葉だといわれ、少子高齢化やひとり世帯の増加といった現代の社会状況にふさわしい行いとして浸透していきました。
まだ歴史の浅い終活には、これといった決まった定義はありません。〈ご自身の今後の人生と死後のことを考えて準備をすること〉と捉えている方も多いのですが、これも終活のなかの一面で一般論。枠にとらわれることなく、個人の考えで自由に行えばいいのです。
昔は死後に向けて事前準備をするのは縁起が悪いとされ、ネガティブに考えがちでした。しかし、終活という言葉が浸透するようになったことで〈自分らしい最期を迎えられる〉〈残された人に迷惑をかけない〉活動だとして、ポジティブに捉えられています。また、終活は自分が歩んできた過去、現在の状況、そして未来への願いを知る行為でもあります。〈人生を見つめ直して残された人生をよりよくする〉ことにもつながるのです。

終活するメリット

終活は〈自分の死後に周囲に迷惑をかけないよう準備しておく〉ことを目的にしている方が多いようです。とくにおひとりさまは親族など頼れる人が少ない場合があり、終活でお葬式やお墓などを準備しておけば死後の負担を軽減できます。死後の準備が整うことで、ご自身の安心にもつながるでしょう。
また終活では〈現状の把握〉もできます。人は自分の状況をすべて認識して暮らしているわけではありません。自分の知らない(もしくは忘れている)物事はたくさんあるはずです。終活では資産や所有物、負債などから現状を洗いだし、そのうえで自分になにが必要なのかを考え、不要なものは整理できます。人生を見直し、これからの人生をよりよくするきっかけにもなるのです。

【やること-1】エンディングノートを書く。

終活の浸透によって、「エンディングノート」の重要性も知られてきました。エンディングノートは〈もしものときのために、自分の最期や死後の希望を記しておくもの〉ですが、記載する情報はそれだけではありません。預貯金などの金融資産や所有している物品、加入しているサービス、健康情報などをなんでも書く、いわば〈自分情報ノート〉。
あらゆる情報をエンディングノートに書き出して自分の現状を知ったうえで、今後の暮らし方やこれからやりたいこと、死後に関する希望などを考えると終活がスムーズに進みます。

自由に書いてOK

エンディングノートの書き方には決まりごとがありません。市販のノートに手書きしても、パソコンを活用してもOK。ボイスレコーダーで音声を録音したり、動画で撮影したりしてテキスト以外でもかまいません。
記載する内容も自由です。終活の一環として作成するため、死亡後の希望を書かなくてはいけないと思うかもしれませんが、エンディングノートには〈書くべきこと〉も〈書いてはいけないこと〉もありません。ご自身の情報や意思が伝わればいいので、好きなように書いてください。

どんなことを書けばいい?

書く内容に困ったときは、〈自分のこと〉〈資産や契約の情報〉〈死後の希望やメッセージ〉を基本とし、〈今後のこと〉を加えていけばいいでしょう。
代表的な項目としては…
●自分の情報
・名前や生年月日
・現住所と本籍地
・電話番号やメールアドレス、SNSのIDとパスワード
・勤務先や所属団体
・身長や体重、血液型
・かかりつけ医や常備薬
・延命治療への希望 …など

●資産や契約の情報
・預貯金や有価証券など金融資産
・不動産や車などの所有物
・借金やローン
・加入している保険
・携帯電話やインターネット
・身長と体重、血液型
・電気やガス、水道など
・サブスクリプションなどのサービス …など

●死後の希望やメッセージ
・お葬式や埋葬方法
・菩提寺
・遺影の写真
・副葬品にしてほしいもの
・相続の希望
・遺言書の有無
・いざというときに連絡してほしい人
・周囲への感謝の言葉 …など

これらは第三者に向けた〈いざというときに伝えたい情報〉ですが、エンディングノートには〈自分に向けたこと〉を書くのもおすすめ。〈やりたいリスト〉など今後の暮らし方の希望を具体的に書き出してみると、これからの人生にワクワクできるのではないでしょうか。

【やること-2】かかりつけ医や薬局をつくる。

年齢を重ねていくと、カラダの不安を感じることが多くなります。一人暮らしをしているおひとりさまは、第三者から体調の変化に気づいてもらう機会が多くありません。今は健康だからと過信せず、自身の健康状態を把握して気軽に相談できる「かかりつけ医」をもっておきましょう。あわせて「かかりつけ薬局」もつくっておくと薬のダブりや過剰摂取を防げ、効果的な飲み方などのアドバイスももらえます。

かかりつけ医の見つけ方

かかりつけ医がいない人は、病院との接点をきっかけにするのがおすすめ。健康に暮らしている人でも「健康診断」や「予防接種」、さらに「風邪をひいたとき」などで病院へ行く機会はあります。受診時に〈病院の雰囲気〉や〈医師や看護師への話しやすさ〉などをチェックし、信頼できるようならかかりつけ医としましょう。かかりつけ医といっても医師や病院をひとつに絞る必要はなく、診療科も問いません。〈内科はここ〉〈外科はこちら〉というように、複数のかかりつけ医をもっておくと病状にあわせて使い分けができます。
かかりつけ医となる医師や病院を見つけたら、健康に関わる事柄はまずそこに相談。つねにお世話になっていると健康状態を知ってもらえ、症状に応じた専門家への紹介もスムーズです。

入院のための準備も忘れずに

病気やケガは前ぶれなくやってくるため、急に入院しなくてはいけない事態になる恐れもあります。一人暮らしのおひとりさまは、入院の準備をしてくれる人が近くにいない可能性があるため、普段から備えておくと安心。いざというときにサッと持ち出せるよう、入院に必要なものをまとめて、わかりやすい場所に置いておきましょう。
●入院セット(例)
・健康保険証
・お薬手帳
・自宅のスペアキー
・少額の現金
・洗面道具
・数日分の着替え
・連絡してほしい人の連絡先 …など

【やること-3】身元保証人をお願いする。

医療機関への入院や手術、施設に入所するときなど、数多くのシーンで「身元保証人」や「身元引受人」を求められます。身元保証人は言葉どおり〈その人の身元を保証する人〉で、身元引受人は〈死亡後にご遺体や荷物を引き取る人〉を指します。異なった役割をもっていますが明確な線引きはなく、同じ意味合いで使われることも多いようです。
身元保証人や身元引受人がいないと、入院や入所を断られる恐れもあります。いざというときに慌てないよう、健康なうちに適した人を探し、お願いしておくといいでしょう。

誰が身元保証人になれるの?

身元保証人は、親族に依頼するのが一般的。血縁関係がなくてもなれるので、信頼のおける友人・知人にお願いしてもかまいません。頼れる人がいるなら元気なうちに相談し、お願いしておきましょう。
身元保証人になれるのは、〈本人と生計を別にする成人〉であることが条件。頼りがいがあっても未成年は身元保証人になれませんし、成人であっても軽快に動けない高齢者には不向き。また、遠方に住む人もいざというときにすぐ駆けつけられないので、避けたほうが無難です。

サービスを利用する方法も

おひとりさまは、身近に頼れる親族がいなかったり、いたとしても迷惑をかけたくないと考えたりする人も多いようです。また、身元保証人になってもらうと責任と手間を負わせてしまうので、いくら親しくても友人・知人に頼むのは心苦しいもの。
身元保証人を頼める人がいない場合は、身元保証サービスを検討してみてもいいでしょう。ひとり世帯が増えている現代では、多くの事業者や専門家がサービスを提供しています。生前の身元保証だけでなく、死後の手続きまで委任できるところもあるので、自分の要望とマッチするサービスと契約すればいいでしょう。
ただし、近年は業者とのトラブルも増えているようです。必ず複数の事業者の情報を集め、内容や契約方法、料金を比較検討して信頼できるところとご契約ください。不安な場合は、契約前に地域の「消費生活センター」に相談するのも一案です。

【やること-4】お葬式やお墓などの準備をしておく。

おひとりさまであっても〈死んだら終わり〉、というわけにはいきません。死後にやらなくてはいけないことは数多くあり、そのなかには「お葬式」や「お墓」も含まれます。どのようなお葬式を営み、どのようにご遺骨を埋葬するのかを生前に決めておき、意思をエンディングノートに書いたり、遺言書として残しておいたりすると残された人への負担が軽減できます。希望していたお葬式や納骨を円滑に執り行えるよう、葬儀社の決定や遺影となる写真の用意など事前に準備をしておくことも大切です。

お葬式は生前予約もできる

終活の一環として、生きているうちにご自身のお葬式を依頼しておく「生前予約」をされる方が増えています。生前予約とは、〈そのときがきたら希望のお葬式を執り行う〉ことをあらかじめ葬儀社にお願いしておくもので、あくまでもお葬式の〈予約〉。内容を決めて見積書を作成しても、料金を支払う義務は基本的にありません。
また、「生前契約」や「プレニード」といった生前予約と似た言葉があります。こちらは〈契約〉なので、契約書の作成や料金の支払いが発生。死亡後、必要なときに厳密に執行されます。

海洋葬など新しい埋葬方法も人気

時代とともに供養への考え方が変化し、近年はお墓以外に埋葬する方法も登場しています。代表的なのが、「納骨堂」。室内に設けたスペースでご遺骨を保管し、一定期間が過ぎると合祀する永代供養が一般的です。
最近は自然環境に還っていく「自然葬」への関心が高まっており、樹木や花をシンボルにしてその下や周囲にご遺骨を埋葬する「樹木葬」や、ご遺骨を粉末状の遺灰にして海にまく「海洋散骨」が人気を得ています。
納骨堂も自然葬もお墓のように誰かが受け継いでいく必要がなく、一代で完結できる埋葬方法。継承者のいないおひとりさまにも適しているといえるでしょう。

【やること-5】死後の手続きをどうするか、検討しておく。

ひとりの人間が亡くなると、たくさんの手続きをしなくてはいけません。おひとりさまの終活では、ご自身が亡くなったあとの手続きを円滑に行える準備をしておくのも大切なこと。元気なうちに利用できる制度などを調べて検討し、必要であれば契約しておきましょう。

死後事務委任契約を検討する

「死後事務委任契約」とは、自分の死後に発生するさまざまな手続きを第三者に委託すること。本人(委任者)の生前に手続きをしてもらう人(受任者)に依頼し、契約しておきます。一般的には司法書士や行政書士などの専門家に依頼しますが、サービスを提供している事業者もたくさん存在するので調べてみてもいいでしょう。また、信頼できる親族や友人・知人がいる場合はお願いをしてもかまいません。
死後事務委任契約は、〈受任者を選ぶ→委任内容を決める→死後事務委任契約書を作成して契約する→公正証書を作成する〉という流れで行われることが多いようです。契約時に作成する死後事務委任契約書を「公正証書」にしておくことで紛失を防げ、トラブル防止にもつながります。
●依頼できること(例)
・お葬式や火葬、納骨などの手続き
・死亡届の提出などの行政手続き
・家賃や施設費などの精算
・医療機関への精算
・水道やガスなど公共料金の精算や解約
・デジタル遺産の消去やオンラインサービスの解約
・親族や友人など知らせてほしい人への連絡
・部屋の清掃や退去手続き
・遺品の整理と処分 …など

自治体のサポートも活用

最近は終活に関わる支援を実施している自治体が増えています。サービス内容は自治体によって異なりますが、〈終活相談窓口の設置〉や〈エンディングノートの配布〉、〈終活セミナーの開催〉などはよく行われているようです。ほとんどが無料で、専門家が在籍していたり、終活に関する補助金が支給されたりするケースもあるので大いに活用しましょう。まずはお住いの地域の役所へ問い合わせ、どのようなサポートがあるのかをご確認ください。

おひとりさまの終活。気をつけるべきポイントは?

終活の進め方に決まりごとはありません。ご自分のペースで、やれるところから手をつければいいでしょう。
とはいえ、終活はなかなかの大仕事。数多くの作業や考えなくてはいけないことが発生するため、挫折しそうになるかもしれません。終活を無理なく進められるポイントをいくつかご紹介します。

早くからはじめるのがおすすめ

終活はいつからはじめてもかまいません。好きなタイミングでスタートしてください。
とはいえ、人は死を予測できません。さらには、終活は時間も手間もかかる作業。体力も気力もあるうちに取り掛かると、時間や気持ちに余裕が生まれます。
終活は人生を振り返って見つめ直し、これからの人生をよりよくするきっかけにするもの。〈思い立ったときがはじめどき〉だと捉え、このコラムをご覧になった〈今〉からはじめてみてはいかがでしょうか。

何度でも変更できる

終活は早めに取り掛かったほうがいいと書きましたが、人の気持ちや暮らしの状況は時間とともに変化していきます。例えば、50代のころに考えた終活の内容が、60代ではしっくりこないこともあるでしょう。
終活の内容は何度でも変更できます。節目ごとに見直し、納得できないところがあれば変更しましょう。エンディングノートを作成している場合は、書き換えればOKです。消せるペンや修正テープを使って上書きしても問題ありません。ポイントは、変更した〈日付〉を必ず記入すること。いつ変更し、どれが最新の情報かをわかるようにしてください。

あせらずゆっくりと

終活は自分の現状を整理するとともに、これからの人生や死後のことを考える行為です。肉体的にも精神的にも負担がかかり、疲れてしまう場合もあるでしょう。気分が沈んでしまったり、体に負担を感じたりしたときは、一旦ストップ。
時間が経ち、落ち着いたころに再開すればいいでしょう。気分が乗らなければ、終活を止めてしまっても問題ありません。終活は、必ずやらなければいけないものではありません。自分のペースであせらずゆっくり進めるのが、挫折しないポイント。信頼のおける人や専門家に相談するなどして負担を分散するのもおすすめです。

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