お葬式コラム

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コラム

供物と供花の意味や役割。贈りたいときはどうする?

お葬式では祭壇などに「供物」や「供花」を飾ります。字を見れば、供物は“お供えする品物”、供花は“お供えする花”であることをなんとなくイメージできますが、ちゃんと理解できている人はそう多くないのではないでしょうか。
今回のコラムでは、供物・供花の意味や役割、費用の相場などを詳しくご紹介。宗教ごとの違いも説明しているので準備する前に確認しておき、ふさわしいものをお贈りください。

「供物」は、故人や仏さまに捧げるお供え物。
「供花」は、供物のなかのひとつ。

「供物」は「くもつ」と読み、故人や先祖、仏さまを供養するために捧げるお供え物のこと。つまり、日常でご自宅の仏壇にお供えしている花や水も供物なのです。

お葬式や法要においては、故人への感謝の気持ちや、大切な人を亡くされたご家族へ弔意を表すために贈る品物をさすのが一般的。供物を贈るのは、故人やご家族と親しい間柄の人が多く、喪主・親族たちで用意することもあります。寄せられた供物は通夜式や葬儀・告別式の間、祭壇や会場で飾られます。

供物は宗教・宗派によって考え方が異なるので贈るときは注意が必要。仏教では、「五供(ごくう・ごく)」と呼ばれる「香」「花」「灯明」「水」「飲食」という5つが供物の基本的な考え方となり、それぞれに意味をもっています。

●香:仏さまは香りを召し上がるため、お線香や抹香を焚きます。また、香りでお供えした人や周囲の人の心身を清めます。
●花:「供花(きょうか・くげ)」と呼ばれる、花のお供え。花のような清らかな心で故人の冥福を祈り、仏さまと向き合います。
●灯明:ろうそくを灯して、祭壇や仏壇を照らします。また、供養する人の心を引き締め、安らぎも与えます。
●水:きれいな水やお茶を供えます。仏教では「浄水」ともいい、供養する人の心が洗われるとされます。
●飲食:ご家族が普段食べているものを供えることで故人とつながるという意味があり、炊きたてのご飯をお供えすることが多いようです。お葬式や法要では、果物や菓子、缶詰などをお供えするのが定番です。

神式では仏式と同じように果物や菓子、お酒などを供えます。キリスト教の葬儀では供物の習慣がないので、品物を贈ることはないようです。

供物にする品物の選び方。おすすめやダメなものはあるの?

通夜式や葬儀・告別式に供物を贈るときに注意したいのが、宗教・宗派。仏教でも宗派によって供物の考え方が違うので、お葬式の運営を担当する葬儀社などに確認してから品物を選ぶことをおすすめします。

仏式の場合

フルーツや菓子、缶詰が定番。故人が好きだったものも喜ばれます。前述の五供のなかから、ロウソクやお線香を贈ってもいいでしょう。また、ロウソクやお線香、フルーツなどを盛りつけたカゴに造花を飾った「盛籠」を贈ることも多いようです。
タブーなものは、“四つ足生臭もの”といわれる肉類や海産物。足のある動物や生臭い魚は殺生をイメージさせるため避けます。日本酒などお祝いごとに用いられる品物はマナー違反だとする傾向もあるので注意が必要。周囲に確認して贈りましょう。

【相場】 盛籠は一基10,000円〜20,000円程度。菓子の詰め合わせなどを持参したり郵送したりする場合は、3,000円〜5,000円がひとつの目安になるようです。

【掛け紙】 “のし”が印刷されていない、弔事の掛け紙をかけます。水引は不祝儀の仕様で黒白や黄白、双銀の結び切り、表書きは「御供」「御供物」とするのが通常です。

神式の場合

仏式と同じようにフルーツや菓子などが一般的。五供の考えがないので、ロウソクやお線香は贈りません。日本の神道では神さまにお酒を捧げるため、仏式でNGとされている日本酒を供えても問題ありません。
また、神道では「神饌(しんせん)」という神さまに献上する食事があります。神式のお葬式では神饌を中心にお供えするので、神社や葬儀社に確認してご用意ください。

【掛け紙】 仏式と同様に、弔事の掛け紙をかけます。水引も黒白や黄白、双銀の結び切りを。表書きは「御供」のほか、「奉献(ほうけん)」「奉納」とすることもあります。

キリスト教式の場合

キリスト教は仏教のように“供養する”という考えがないため、供物の習慣はありません。生花を贈るのが一般的ですが、近年は生花の代わりに「御花料(献花料)」として金銭を包んで持参することも多くなっています。そのときは、水引のついた仏式の不祝儀袋ではなく、白無地の袋を使用します。

供物に不向きなもの

故人が生前に好んでいた品物を贈ると喜ばれますが、傷みが早い生ものやニオイが強いものなどは宗教・宗派を問わず避けるべきです。サイズが大きすぎるものも、置き場所に困る場合があるので止めておくのが無難でしょう。また、“不幸が根づく”とされる鉢植えの植物もタブー視される傾向があります。

供花の意味や役割について。誰が贈って、どう飾るの?

「きょうか」「くげ」と読む「供花」は、故人や仏さまへ供える花。故人の冥福を祈る供養という意味があるので、供物の品物と同様に故人と深く縁のある人がお供えします。一般的には、親族や友人、故人や喪主と仕事で関わりのある方々が個人または共同で贈ることが多いようです。通夜式や葬儀・告別式に参列できない人が、香典や弔電の代わりに贈るケースもあります。

供花の多くはカゴにたくさんの生花をたくさん盛った「花籠」のスタイルでアレンジされ、高い足のついたフラワースタンドのカタチにすることもあります。 数え方の単位は「基(き)」で、2基を一対にして贈るのが一般的。とはいえ近年はお葬式のスタイルが変化してきたこともあり、一基だけを贈ってもマナー違反になりません。

供花には「喪主」や「親族一同」など贈った人や会社などの名前を書いた札を立てることが多く、その名札を確認しながら順番に祭壇まわりや式場内に並べます。順番は地域によって異なり、親族から頂いた供花の場合は祭壇に近い方から「血縁の薄い順」または「血縁の濃い順」となり、ご友人や会社関係の方から頂いた場合は、故人→喪主→血縁の濃い親族と関係がある方の順になるなど、葬儀社のスタッフに確認しながら供花を頂いた方々に失礼が無いよう注意しましょう。

また、供花には祭壇や会場を華やかに演出するという役割もあります。小規模の家族葬などでは祭壇のスケールも小さくなりがちです。祭壇がさみしく感じるときは、供花を祭壇まわりに集中させると華やかな印象になるのでおすすめです。

宗教別、供花に好まれる花の種類や価格の相場。

供花も供物同様に宗教・宗派によって考え方が違い、好まれる花の種類もそれぞれです。場違いな花はマナー違反にもつながってしまうので、贈る前に確認しておきましょう。

仏式の供花

仏式のお葬式では、白をベースに黄色や薄いピンクなどでまとめた落ち着いたトーンのアレンジが一般的。花の種類は、菊、ゆり、カーネーション、デンファレなどがよく使われます。高級感を演出するときは胡蝶蘭を加えるといいでしょう。
基本的には生花を使用しますが、最近はプリザーブドフラワーや造花など扱いやすいものを利用するケースもあるようです。

【相場】 生花のアレンジで一基7,000円〜20,000円程度。一対にして贈るときは2つ必要なので、倍の価格を想定してください。

神式の場合

“穢(けがれ)のない神聖な色”とされる白色の花でシンプルにアレンジし、花籠やフラワースタンドのカタチで贈ります。使用する花は、菊、ゆり、カーネーション、カスミソウなど。なかでも、白菊はよく使われます。仏式で使われる胡蝶蘭は華美になってしまうため使用は控えます。
昔は神道の行事に欠かせない「榊(さかき)」を用いていましたが、近年は喪主が榊をお供えし、ほかの人は花を贈るケースが多いようです。

【相場】 仏式同様に生花のアレンジで一基7,000円〜20,000円程度を想定しておくといいでしょう。

キリスト教式の場合

キリスト教式では供物の習慣がないため、仏式や神式のような供花の意味はありません。花を贈りたいときは、こぶりなバケットフラワーをご自宅に届けるのがいいでしょう。種類としては、ゆりやカーネーション、胡蝶蘭などが一般的で菊は使用しません。白やピンクなど可憐な色味を好み、十字架やハート型にアレンジするのが特徴のようです。
キリスト教式ではプリザーブドフラワーや造花はNGなので、生花のみを使います。仏式のように名札は立てず、メッセージカードを添えて想いを伝えるといいでしょう。

【相場】 使用する花の種類やサイズによって価格は大きく変わり、相場も3,000円〜15,000円と幅があります。希望通りにアレンジしてもらえるので、予算や好みを伝えるといいでしょう。

NGな花の種類

宗教を問わず、避けておきたい花もあります。以下にご紹介するタイプの花は使用を控えたほうが無難でしょう。

●トゲのある花:殺生をイメージする縁起のよくない花だとする向きがあります。人を傷つける恐れもあるため、使用するときはトゲを取ってもらってください。
●毒のある花:スイセンやチューリップなど毒のある花は仏事全般で使用しません。仏教とつながりの深い「樒(しきみ)」は、毒性があっても問題ありません。
●ニオイが強い花:仏さまは香りも召し上がるといわれています。線香や抹香など供物の香りを消すので、ニオイが強い花の使用はNGです。
●花粉のある花:祭壇や会場、参列者の衣裳を汚してしまう恐れがあるので避けたほうが無難。使いたい場合は、花粉を落とすなどの処理をしてもらいます。
●ツルのある花:ツルがからんで成仏できないと考えられることもあります。また、枯れやすいところも供花に適していません。

これらは一般的な考え方です。無宗教葬であれば宗教のしきたりにとらわれることなく、自由に贈って問題ありません。
また、近年はお葬式のあり方が柔軟になっています。宗教のしきたりから少し外れても、故人が生前に好きだった花といっしょに見送りたいと願うなら使用してもいいのではないでしょうか。迷ったり、わからなかったりすることがあれば、葬儀社の担当者に相談するとアドバイスをもらえます。

供物や供花の手配方法。いつ、どうやって贈ればいい?

供物や供花は、お葬式の運営を担当している葬儀会社に手配を頼むのが一般的。葬儀社なら、執り行われるお葬式の宗教・宗派、地域の風習など詳細を把握しています。宗教に適さないものを贈ってしまうというマナー違反を避けられ、日時や会場を間違わず確実に届けられるメリットもあります。遠方などの理由で当日に参列できない人が贈る場合でも葬儀社を教えてもらい、問い合わせるといいでしょう。

また、近年はインターネットで供物や供花を注文できるサービスが増えたため、ネットを活用して届けてもらう方も多いようです。ふさわしくないものを贈ってしまうミスを防ぐため、宗教・宗派や規模などお葬式の情報を事前に入手してから品物をチョイスします。届ける会場や日時、贈り主の名前も間違わないように注意を払いましょう。複数人がまとまって贈るときは代表を決めて注文すれば、重複を防げます。

供花は花屋に依頼することもできます。近くに生花店があるのであれば、直接相談に行ってもいいでしょう。

自分で手配する場合も葬儀社へ連絡

2日間かけて通夜式と葬儀・告別式をするお葬式であれば、通夜式がはじまるまでに会場へ着くよう手配します。通夜式をしない一日葬の場合は、葬儀・告別式までに届けます。火葬のみの直葬では式を行わないので、供物や供花は必要ありません。
避けたいのが、事前に準備すること。 “待っていた”と思われてしまうので、供物や供花は訃報を受けてから手配するようにします。
また、時間に余裕がなく、お葬式に間に合わない場合もあるでしょう。そんなときは、お葬式後の初七日から四十九日までの期間にご自宅へお届けし、ご霊前に飾ってもらいます。

供物や供花で気をつけることはある?

供物や供花は哀悼の意を表すものですが、一方的に贈っていいものではありません。よかれと思ったことでも、負担になってしまっては本末転倒。喪主やご家族の想いを尊重することを第一に考え、弔意の押しつけにならないよう注意しましょう。

辞退の意向がないことを確認

近年は身内のみで執り行う小規模な家族葬が増えたこともあり、香典や供物・供花を辞退するケースが多くなっています。辞退の意向があるにも関わらず供物や供花を贈ってしまうと、贈られた側に心理的な負担と物理的な迷惑をかけてしまいます。
お葬式では、喪主やご家族の想いを最優先するのがマナーです。供物や供花を贈りたいと考えたら、まずは辞退の意向がないかを確認。喪主やご家族は準備に追われているので、確認する相手はお葬式の内容を把握している葬儀社の担当者がおすすめです。

供物・供花を贈ったら、香典はいらない?

香典は、供物のなかの“香”の代わりにお供えするもの。供物・供花と同じ意味があるため、本来はどちらか一方を贈ればよいとされています。しかし、近年は供物や供花は故人へ、香典はご家族へという想いから両方を用意するケースが一般的なようです。とはいえ、両方でも、どちらか一方でも問題はありません。贈る人の意向でお選びください。

贈られた側はお礼を忘れずに!

供物や供花を贈られたら、喪主からお礼を伝えましょう。通常はお葬式後の一週間をめどにお礼状を送ります。品物を贈る場合は、いただいた供物・供花の3分の1程度の金額を目安にお茶やお菓子など消えものを選ぶといいでしょう。香典と供物の両方をいただいた方には忌明けする四十九日のタイミングで「香典返し」を行い、あわせて供物や供花のお礼を伝えます。

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