お葬式コラム

密葬について。家族葬や直葬とどう違うの?

お葬式のあり方が多様化している近年は、さまざまなスタイルのお葬式が登場しています。ただ、種類が多くなるとそれぞれの特徴がわかりづらくなり、混同されることもあるようです。そのひとつが、「密葬」と「家族葬」。どちらもご家族を中心に親しい方々だけで執り行う形式ですが、意味や内容には大きな違いがあります。今回のコラムでは「密葬」を取り上げ、詳しくご紹介。また、家族葬や直葬との違いもご説明します。

密葬とは、どんなお葬式?

「密葬」は、ご家族を中心に故人と親しい方だけで静かに執り行うお葬式で、昔からある形式です。家族葬と似ていますが、大きな違いは密葬のあとに「本葬」が行われること。

このカタチが選ばれるには、いくつかの理由があります。例えば、社会的に地位の高い方が亡くなった場合、お葬式は故人と縁のあった方々に広く参列いただくのですが、人数が多くなると都合がつかない人もでてきます。日程を調整するとしても、夏場などは気温が高くてご遺体の腐敗が進みやすいため、長く保管しておくことは困難。さらには、大規模なお葬式を営むとなると準備や当日の対応が大変になり、ご家族は故人とゆっくりお別れできなかったりもします。

そこで、まずは身内だけでお葬式を営んで故人を弔い、ご遺体を火葬。この内々に行うお葬式を密葬と呼びます。その後、密葬に参列いただかなかった多くの方々が故人とお別れできるよう日を改めてお葬式を執り行い、こちらを本葬とするのです。

このように密葬と本葬はほぼセットで行われますが、本葬ではなく「お別れ会」や「偲ぶ会」といったスタイルで開かれるケースもあります。

密葬と、家族葬・直葬の違い。

混同されがちですが、密葬と「家族葬」「直葬」は異なるお葬式形式。違いについてご説明しましょう。

密葬と家族葬の違い

家族葬は、ご家族など故人と縁の深い人たちで執り行う小規模なお葬式のこと。規模は小さくても、一般葬と同じように通夜式や葬儀・告別式といった宗教儀式を執り行うのが一般的です。家族葬という名称ですが、ご家族以外の方が参列する場合もあります。
密葬も身内だけで静かに営むお葬式をさすので、家族葬と似ています。しかし、密葬では後日に多くの人が参列する本葬やお別れ会が用意されているのに対し、家族葬はそれ以外の式を行いません。後日に本葬を執り行うことを前提としているのが密葬、そうでないものは家族葬というわけです。
とはいえ、家族葬は密葬から派生したお葬式スタイルだともいわれています。密葬は昔からあるお葬式の形式ですが、近年は密葬をしても本葬を執り行わないケースが増えてきました。そこで、本葬をしない密葬を家族葬と呼び、新しいスタイルとしたようです。

密葬と直葬の違い

「直葬」は「ちょくそう・じきそう」と読み、通夜式や葬儀・告別式を省略して火葬のみで故人を見送るシンプルなスタイル。「火葬式」とも呼ばれますが、通常のお葬式にある宗教儀式は行わず、24時間以上ご遺体を安置したのちに火葬するのが一般的な流れです。
多くは近親者のみで行われるため密葬と勘違いされることもありますが、密葬は直葬と違い宗教儀式を営みます。また、直葬は火葬後に一般参列者のための場を設けませんが、密葬は後日に本葬やお別れ会を開きます。

密葬や本葬はどのような流れで行われるの?

密葬は内々で行うお葬式という意味なので、式の内容や流れは一般的なお葬式と変わりありません。

一般的な密葬の流れ

●逝去後に葬儀社へ連絡 故人の死亡が確認されたら、葬儀社へ連絡。病院など亡くなった場所にご遺体を迎えに来てもらいましょう。

●安置
ご自宅や施設など安置場所へご遺体を搬送。24時間以上、安置します。

●葬儀社と打ち合わせ、菩提寺や参列者へ連絡
ご遺体を安置している間に、お葬式の日程や内容など葬儀社と具体的に打ち合わせします。あわせて菩提寺へ連絡し、読経いただく僧侶の都合を確認。参列をお願いする親族にも連絡します。

●死亡届の提出、火葬許可証を受け取り
役所へ死亡届を提出。受理後に火葬許可証をもらいます。これがないと火葬できないので必ず受け取りましょう。

●通夜式
通夜式までに納棺し、僧侶をお招きして通夜式を行います。その後、通夜ぶるまいで僧侶や参列者をもてなす場合もあります。

●葬儀・告別式
通夜式の次の日に葬儀・告別式を営みます。読経や焼香など一般的なお葬式と変わらない内容で進行します。

●出棺・火葬
告別式を終えると出棺し、ご遺体を火葬場へ搬送。ご遺体を火葬し、火葬後にお骨を骨壺に納める骨上げをします。この後、初七日法要を執り行う場合もあります。

密葬は、「直葬」や「一日葬」でもOK

密葬は参列する人に限りがあるだけで、執り行い方に決まりごとはありません。例えば、通夜式や葬儀・告別式をせずに火葬のみで故人を見送る「直葬」や、通夜式を省略して葬儀・告別式から火葬までを一日で行う「一日葬」を選択することも可能です。
密葬は直葬や一日葬でひっそりと営み、多くの人に参列いただく本葬は華やかに行うという流れも密葬のパターンのひとつです。

本葬にはさまざまなスタイルがある

密葬のあとに日を改めて行われる本葬は、多くの方が参列する大規模なお葬式。そのため、さまざまなスタイルが見受けられます。
一般的な形式をとる場合は、一日目に通夜式、二日目に葬儀・告別を執り行います。密葬と違い多くの一般参列者を迎えるため、お葬式の規模は大きくなります。
また、「お別れ会」や「偲ぶ会」といったスタイルをとる場合もあります。セレモニーホールなどで告別式に近いカタチでフォーマルに行われたり、ホテルなどを会場にして会食パーティーのように華やかに催されたり。宗教儀式を行わないケースも多いため、場所や演出は自由に設定されているようです。

密葬のメリットとデメリット。

そのほかのお葬式スタイルと同様に、密葬にもメリットとデメリットがあります。それぞれを把握し、密葬は自分たちの希望するお葬式に適しているのかを判断するときの参考にしてください。

密葬のメリット

密葬で得られる大きな魅力は、なんといっても身内だけで静かに故人とお別れできることではないでしょうか。交友関係が広い人のお葬式は一般参列者が多く、必然的に規模も大きくなります。大規模なお葬式はそれに応じた準備が必要ですし、当日も参列者の応対に追われるでしょう。どうしても喪主やご家族にかかる負担は大きくなり、ゆっくり故人と向き合う時間がとれなくなってしまう難点があります。
しかし、密葬と本葬をセットにすれば、密葬では気心の知れた近親者だけで落ち着いて故人を弔えます。後日に行う本葬は、日を調節できるため準備に時間をかけられ、心身に余裕をもって進められます。
さらに、本葬を設けると多くの方々が故人とお別れすることができ、“故人の死を世間に伝える”という社会的な役割を果たせるのもメリットです。

密葬のデメリット

密葬は本葬とセットなので、お葬式を2回行わなければなりません。そのため、精神・身体的な労力に加え、経済的にも大きな負担がかかります。身内のみで営む密葬は安価に抑えられますが、多く方に参列いただく本葬は広い会場や装飾が必要になり、対応する人員も増えます。大規模な一般葬を一回で終えるより、費用が高額になってしまうのは避けられません。
また、通常は密葬後にご遺体を火葬します。本葬は遺骨を飾って行うため、参列する一般の方はご遺体と対面して最後のお別れができないのです。これらの要因から密葬に不満をもつ人が現れ、周囲に理解を得られないケースがあることも覚えておきましょう。

密葬を執り行う場合の注意点。

密葬を行ううえで注意すべきことはいくつかあります。

周囲の理解を得ておく

親族のなかには、近親者のみで密葬することに不満をもつ人がいるかもしれません。内々で密葬したことをあとから知って、トラブルに発展する恐れもあります。少なくとも親族には密葬と本葬をわけて故人を見送る意向を伝え、理解を得ておきましょう。また、あわせて訃報を漏らさないようお願いし、徹底してもらいます。

菩提寺に相談する

寺院にはそれぞれしきたりがあり、お葬式で僧侶が読経しないと戒名を授けず、先祖代々のお墓に納骨できないところもあります。火葬のみの簡略化した密葬を行うからと菩提寺へ連絡せずにいると、トラブルにつながるケースもあるのです。
菩提寺とのおつきあいは、お葬式に限らず長くつづきます。コミュニケーションを大切にし、どのような形式のお葬式でも菩提寺がある場合は必ず連絡し、相談しましょう。ご家族の思いや密葬と本葬をわける理由を丁寧に説明すれば、理解が得られるはずです。

訃報をもらさない

密葬は限られた参列者で内々に行うお葬式。密葬であることを知らずに身内以外の方が参列してしまわないよう、情報の流出は十分に注意してください。密葬に参列する人はもちろん、連絡した菩提寺や親族にも外部に訃報をもらさないようお願いしておきます。
密葬に参列していただけない方は本葬に招待するので、一般の方への連絡は本葬の日時が決定した段階で行うといいでしょう。

密葬への参列。服装や香典はどうすればいい?

ほとんどの人は密葬への参列に慣れていません。作法に悩み、とまどう方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、密葬とはいえ故人を弔うお葬式に変わりありません。一般的なお葬式と同じようにふるまって問題はないのです。

服装は喪服で

服装は、男女ともに喪服を身につけるといいでしょう。喪服には格式の違う「正喪服」「準喪服」「略喪服」の種類がありますが、参列者として着用するなら準喪服がおすすめ。あわせる小物も黒でそろえ、バッグや靴の素材は光沢のないものを選びます。男女ともに結婚指輪はつけてもかまいませんが、きらびやかな時計やアクセサリー類は外します。
喪主から〈平服で〉と案内された場合でも、ダークスーツなど略喪服を着用するのがマナー。本葬やお別れ会に参列するときも同様に、喪服を着用して弔意を表しましょう。

香典の相場も一般葬と同じ

密葬とはいえ、お葬式に変わりありません。香典の相場も一般葬と同様に考え、故人との関係性や年齢を考慮して見合った金額を持参しましょう。
ただし、密葬では喪主側に〈香典辞退〉の意向があることも多いので、事前の確認をおすすめします。供花や供物の場合も同様に、事前確認のうえでお贈りください。
また、密葬と本葬の両方に参列する方は、香典を渡すタイミングに迷ってしまうことがあるのではないでしょうか。同じ人が両方の式に参列するなら、密葬用と本葬用の2つの香典を用意する必要はありません。本葬でのみ、香典を渡すといいでしょう。

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